三谷龍二展「小さな時間」のご案内

三谷龍二展「小さな時間」のご案内

VOL.96_RYUJI MITANI_EXHIBITION

三谷龍二展「小さな時間」

会期 2016年5月14日(土)〜 6月12日(日)
開廊時間 11:00〜17:30
休廊日 火曜
場所 gallery yamahon
作家在廊日 初日 5月14日(土)

RYUJI MITANI : WOODWORKS

MAY 14, 2016- JUNE 12, 2016
Wednesday- Monday 11:00 - 17:30
Map: gallery yamahon


月夜のボタン

何かの役に立つわけではなく、人目をひく美しさもないが、人をその場から立ち去りが たい思いにさせるものがある。
中原中也にとってそれは月夜の浜辺に落ちていたボタンで あった。

  月夜の晩に、ボタンが一つ/波打際に、落ちていた。  
それを拾って、役立てようと/僕は思ったわけでもないが  
なぜだかそれを捨てるに忍びず/僕はそれを、袂に入れた。
                     

中原中也「月夜の浜辺」


人に見捨てられ、いまにも波に攫われそうなボタンは、月光のもとで何よりも無垢な存在 として浜辺をさまよう詩人の琴線に触れた。このとき「指先に沁み、心に沁みた」のは、 ボタンそのものというよりその佇まいだったのではないだろうか。
三谷さんの手になるPaper Blocksは、月夜のボタンのように、ひっそりとただそこに在 るものの、どこか影を宿した佇まいを感じさせる。三谷さん自身が漆で紙を張り合わせて 形をつくり、彩色を施し、新たに制作したものであるにもかかわらず、その姿が古びた紙 製の箱や積木にどこか似ているからだろうか。中身はとうに失われ、色が褪めてところど ころ擦り切れた箱も、子どもが成長した後に押し入れの片隅に残された積木も、人々が関 心を失い、存在すら忘れてしまったものである。三谷さんもまた人間のあらゆる欲望の対 象から解放されたものが持つ無垢な佇まいに引かれ、その場を立ち去りがたく思う人の一 人であるにちがいない。 だれの目にも見える姿や形、色や光とは違い、佇まいや影は捉えどころがない。みなが 同じように感じるわけではなく、次の瞬間には失われているかもしれない。太陽であれ月 であれ、ものに射す光ではなくものが宿す影に気づくかどうか、片隅で忘れられたものの 佇まいに無垢を感じるかどうかはすべてその人次第である。
                      
土田眞紀(同志社大学講師)



◉coffee Kajitaのコーヒー茶会
三谷さんの器を使ったコーヒー茶会を開催します。
茶席の一席のように1杯のコーヒーをお出しします。
コーヒーをより美味しく、ゆっくりとお愉しみいただく小さな時間をお楽しみください。

日時 2016年5月19日(木) ※予約制(各部5名) 
    1部 11:00 〜
    2部 13:00 〜
    3部 14:30 〜 満席
料金 ¥2,500

※席数に限りがありますので先着順とさせて頂きます。
※前日・当日のキャンセルは全額¥2,500いただきますのでご了承ください。

予約先 TEL/FAX 0595-44-1911
MAIL: info@gallery-yamahon.com
※お名前、ご住所、お電話番号(携帯)、参加人数、時間(1部・2部・3部)をお知らせください。 
※沢山の方にお越し頂き、有り難うございました。
このイベントは終了いたしました。




PROFILE

三谷龍二 RYUJI MITANI
1952福井県福井市生まれ
1981長野県松本市に工房ペルソナスタジオ開設。陶磁器のように毎日の食卓で使われる木の器を提案。全国で個展多数。 また、立体作品、平面作品も手がける。「クラフトフェアまつもと」の運営に当初より携わり、現在も「工芸の五月」で工芸と 暮らしを結ぶ活動を続ける 。著書に『木の匙』(新潮社)、『僕のいるところ』(主婦と生活社)、『三谷龍二の木の器』(アトリエ ・ヴィ) 、「遠くの町と手としごと」(アノニマスタジオ)など。