yamahon的工芸 | 工芸青花 [ 神楽坂 ]

yamahon的工芸 | 工芸青花 [ 神楽坂 ]

工芸青花 [ 神楽坂 ]

yamahon的工芸

会期 2020年6月19日(金)〜6月28日(日)*6月19日は青花会員と御同伴者1名のみ
開廊時間 13〜19時
場所 工芸青花 | 東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
[ 出展作家]
浅井庸佑 / 荒井智哉 / 安藤雅信 / 岩田圭介 / 植松永次 / 金森正起 / 岸野寛 / 紀平佳丈 / 小澄正雄 / 辻村史朗 / 辻村唯 / 津田清和 / 中野知昭 / 中山秀人 / 林友子 / 古谷宣幸 / 三谷龍二 / 望月通陽 / 山田洋次 / 渡辺遼

yamahon exhibition at Kogei-seika, Tokyo

Jun. 19, - Jun. 28, 2020
Map: Kogei-seika

工芸青花 WEBSITE


2000年に「ギャラリーやまほん」をオープンし、今年で20年という節目を迎えました。これまでお付き合い頂いた多くの作家やスタッフ、そして何よりお客様のおかげで今日があるのは言うまでもなく、この場をお借りして厚くお礼を申し上げたいと思います。

思い返すと本当にあっという間の20年でしたが、十年一昔と言われる通り、私がギャラリーを始めた頃とは、工芸を取り巻く状況も随分と変わりました。地方にも器を扱う店やギャラリーが増え、また工芸家の活動の場も、海外で展覧会を開くことがすでに特別ではない時代となりました。SNSなどを通じて工芸が世界に広がる昨今、私のギャラリーにも海外からのお客様が器を求めてお越しになります。時折、海外誌からの取材依頼もお受けしますが、その時に必ずと言っていいほど尋ねられることがあります。「どういう基準で作家や器を選んでいるか」という質問です。生活工芸から茶道具、平面作品やブロンズ作品もあり、また湯呑にしても2000円から20000円という金額も含め、文字通り多種多様な店なので、そのストレートな質問には戸惑ってしまいます。

埏埴以為器。当其無、有器之用。鑿戸牖以為室。当其無、有室之用。故有之以為利、無之以為用。(粘土をこねて器を作る。そこ[器の中]に何もない空間[空]があるから、器としての役割を果たす。戸や窓を貫いて部屋を作る。そこ[部屋の中]に何もない空間があるから、部屋としての役割を果たす。つまり形ある物に価値があるのは、形のないものがその役割を果たしているからである)

老子が「有」に対する「無」の根源的な働きを説いた章ですが、「有」をささえるものは「無」であることを示唆しています。形あるものだけに人は目をうばわれがちですが、何もないということは何かの役に立っていないようにみえても実はそうではなく、形あるものにその役割を与え、性格づけ、存在の価値づけをしていると言えます。

一つの器が持つ「無」は、空気感とも言い換えられると思いますが、私はこの空気感との静かな対話によって、作り手が素材から得た感覚、素材と向き合って生まれた形、作り手の姿勢や器物に対する思考に思いを巡らせます。もちろん自分が持ち合わせていない価値観と出会った時はすぐには判断できず、器を眺めては時間をかけて触れていくことになります。
そうしたことを繰り返し、20年の歳月が過ぎましたが、やはり言葉による蘊蓄には関心がなく、「無」(空気感)を感じること、器の声を聞くことでその本質を知ることが出来るように思います。器物に美を見出して来た日本工芸の歴史は、時代の空気と共に変化し、今もなお脈々と受け継がれています。取るに足らない雑器に人や自然の気配を感じ、そして自己を見つめる。器を通して私はそうした世界観を伝えたいと願うのです。