本展では名古屋市で金属を素材に制作活動をする金森正起の彫刻的な仕事を中心とした展覧会「森へ」を開催します。金森は琺瑯の器、鉄の盆やアルミのボウルとテーブルウェアに留まらず、建築に関わる照明器具や門扉などその仕事は多岐にわたります。これまでにも抽象的な物は数多く作られてきましたが、今回の展覧会ではより自由な表現として、動物や昆虫をモチーフにしたかのような造形物を制作しています。全てこれまでの表現には見られない新たな造形感覚と古材や古い道具を組み合わせるといった新たな試みが数多く挑戦されたように見受けられます。これらの造形物からは脆さの中の強さというのだろうか、一見すると不確かなで曖昧な造形に写りますが、確かに滲み出すものが感じられます。今回の「森へ」というタイトルからも現代社会の現実から遠く離れ、どこか幻想的な世界への憧憬を感じてなりません。金森作品の新境地に触れ、何か感じていただけると幸いです。