本展では名古屋市で金属を素材に制作活動をする金森正起の琺瑯展を開催します。
造形作品や器、建築物に関わる照明器具や門扉など、金森の仕事は多岐に渡ります。金属が持つ素材の特徴として「錆」が挙げられますが錆びるという経年変化は、長く使う器としてはデメリットでしかありません。しかし、その素材に魅せられ、金森は制作活動をします。金森の作品の魅力は日常の何気無い感覚を拾い上げ、じっくり思考し、その手触りを作品に落とし込んでいることにあると感じます。子供は言葉を話すまでにこの手触りから色々なことを感じ、学びます。しかし、携帯電話のように無機質な製品が主流の現代社会。時代が経つに連れ「手触り」という感覚が失われていくことは、人間にとっての大切な感覚が失われていくように感じてなりません。今展は琺瑯の器といった日常の暮らしの中で使うものに絞りました。文字を書いたり、土に触ったり、改めて日常の手触りを感じる契機となる展覧会となれば幸いです。どうぞご覧ください。