本展では滋賀県大津市仰木にて作陶する浅井庸佑さんの展覧会を開催します。
浅井さんは古陶磁好きの父親の影響で、幼少の頃から陶磁器に囲まれて育ちました。「何か手を動かして物を作る仕事に」と大学卒業の数年後に愛知県の陶芸家、柴垣六蔵氏に師事し、修行します。柴垣氏に伝えられた「土を作ることしか教えられない」との言葉通り、弟子時代には特に粘土作りを学びました。山に出掛け、陶磁器に使える原土を採取し、砕き、水簸(すいひ)し、それぞれの土をブレンドし、焼成します。こうして土味をテストする日々を過ごしました。土を作る作業はとても手間と時間のかかる作業ですが、浅井さんは粘土や釉薬の原料を採取して、仕事の半分以上の時間を土作りに費やしています。そうして作られる器は割れなどにより、安定した焼き上がりは求められませんが、こうした背景を知るとその行為ゆえの魅力だと感じられます。
今展では青磁や柿釉の花入、古唐津などの古陶磁に想いを馳せた食器や茶碗が約200点並びます。丁寧に作られた器をどうぞご高覧ください。