– 略 – 塗って、彫り、また塗り重ね、砥ぐ、削る、擦る、光の変化を見る。
そんな手の行為は行きつ戻りつ、順番や終わりの決まりはない。木工、塗物、、、カテゴリーや文脈は無い。
繰り返していく中で、透明な時間は静かに身体の中に沈殿する。
足元から次第に浸っていく時もあれば、水面の光を遠くに感じるほどに深くその中に沈んでいく時もある。流れに任せているうちに振り返ると、中洲のように堆積している時もある。
なによりも自分自身が不確実であるから、透明な存在を片隅に置いて、その気配を感じつつ、煩雑な日常に身を置きたい。
無いと気づいたから在ることに気づくのか
在ると知ったから無いと気づくのか
平面と額(シカク)は透明な時間への入り口なのである。
林友子