日々物作りに従事していると、朝-夜 春夏秋冬 等しく与えられたサイクルをどう過ごし、どう積み重ねていくかで次の1日、1年の見え方が大きく変わってくることが分かります。ヒムカシは生産効率より布の表情を大切にしている為、あえて旧式シャトル織機を扱う機屋に織布を依頼しています。旧式シャトル織機は手機機に動力を付けたような非常にシンプルな構造で、それゆえに同じ機械でも織り手の感性や地域の歴史によって仕上がりに大きな差(個性)が生まれます。服のデザイン・構造の中にシャトル織機の特徴である耳(セルビッチ)が多く見受けられるのは、なるべく鋏を入れず縫製工程を減らし、布作りとは逆に効率よく仕立てることで、それら布の持つ風合い・質感を損なわないようにという思いの表われです。また、ヒムカシは最先端技術を使った機能素材も多用します。天然素材とは仕掛け方が異なり、本来の目的の為に作られた素材をそのまま生かさずに、アイテムやカッティングで別の目的地を目指します。山岳素材の最高峰 POLARTEC 社に依頼したアウトドア素材で作るカーディガンやワンピースなどの日常着は、軽く丈夫で動きやすく日々の生活を軽やかなものへと。コンテンポラリーな革小物を制作するiroseと企画する布小物は、使い捨ての梱包素材をモチーフに大切なものをしまいたくなるバッグやポーチになればよいなと試みています。